◯陳情第41号「深沢への新市庁舎整備を進めることを求める陳情」について反対の立場で討論する。
市役所移転と言う市政の重大な内容にも関わらず、事実を捻じ曲げ誘導する内容、根拠データにもとずかない不正確な内容、イタズラに市民の不安を煽る内容であるので、看過できない。
法令に基づかない事務執行をごり押しする内容でもありゆるせる事ではない。
まず最初に申し上げておくが、本庁舎の位置を移す条例は否決になっており「移転事業が停滞」しているのではなく、移転は現状では出来ないと言う事は法的に決まった事である。
否決され深沢移転ができなくなった時点で、市長は災害対策が喫緊の課題と強く言われるのであったら、別の対策を早急に考えて実施るべきであるが、それをしないのは市長として怠慢である。
耐震、手狭、老朽化などはいくらでも対応策があるが、不正確な理由を言って他の対応策を取る事をしないで、市民を危険にさらし、不便さを押し付け、職員の労務環境の改善をはかろうとしていないのは、他ならぬ松尾市長である。
市長がどうしても移転を進めたいのであれば、反対した議員の反対理由に対して、解消する提案を出して、きちんと議論をして、再度位置条例を提案すれば良い事であるが、松尾市長はそれを全くしていないのに、しているのかの如く言って嘘を言い誤魔化しているだけである。
安心安全をおびやかし、税金負担を増加させて市政を停滞させているのは、他ならぬ松尾市長であり、議会側の責任ではない。陳情の理由の冒頭に記載の内容は、間違った認識である。
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移転するにしても、計画の方針がコロコロ変わったり、遺跡調査や土壌調査はまだこれからであったり、現本庁舎の跡地の利活用、市民サービスの中身、消防本部の移転、支所の閉鎖、他の官公署との関係、一番問題がある住民の利用に大変不便な交通環境の整備、などなど、市役所移転という重大な事業で様々な課題があるのに、あまりにも中身の熟度が低レベルで呆れる次第である。
特に、災害時の対応の市長の間違った認識のまま進めようとしている事は大変大きな問題だと考える。
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この陳情はオンライン署名550名との事であるが「反対以外の声をこの署名で集めて提出」と言われるのだったら、所定の陳情書の様式の署名として提出するか、鎌倉市民の署名が何名あったのかぐらいは明らかにして提出するべきである。
「少数の議員の反対により停滞」と言っているが、鎌倉市役所の位置を定める条例の一部改正議案 は2/3の賛成が必要な特別多数議決であるが、この事を理解していない議会制民主主義をぼうとくするあきれる発言であり、到底容認できない。これは「少数の賛成しか得られず否決」であり、完全に間違った認識である。
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次に移転を賛成する6つの理由の中から申し上げる。
まず①より申し上げる
「大地震の際の災害対応、業務継続に必要な耐震性が十分ではない」と記載されているが、
・まず「大地震」と表現しているが、何処で起こるどういった規模の地震の事を言われているのであろうか?具体性が無く全くなんだか分からないレベルの表現である。
・次に「業務継続に必要な耐震性が十分ではない」と言われているが、何の地震を対象として、何のデータを根拠に言っているのか、全く不明な表現である。
現本庁舎はIs値の最低部分は東西方向の2Fの揺れに対しては0.62であるが、この数値は国土交通省「官庁施設の総合耐震計画基準」で3類の0.6より若干高く👉大地震により構造体の部分的な補修は生じるが、建築物全体の耐力の低下は著しくないことを目標とし、人命の安全確保が図られている。となっている👉また現本庁舎のis値は南北方向は高く、地下-0,932、1F-0,795、2F-0,748、3F-0,709、4F-0,667となっており、少し制振補強などをすれば、2類(Is値:0.75以上)で最大想定の震度7程度の地震後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標とした、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られている、災害応急対策活動に必要な建築物及び多数の者が利用する建築物としても対応できるものになると考える。
・更に「想定を超える地震、津波の場合、損壊や津波の来襲により、建物が使えるかどうかに加えて、市役所内にいる人の安全に関わりかねない」
と表現しているが、想定ができない地震だったら、鎌倉市内の何処にいても、どんな建物にいても、安全だという事は言え無いと考えるが、一体何を言っているのか意味不明の表現である。
東日本大震災はまさに「想定を超える地震」であったわけだが、児童と教職員の行方不明者と死亡者合わせて94名が出た大川小学校は、震災当時ハザードマップ上では浸水しないことになっており、避難所にも指定されていた。この場所は北上川河口から約4キロ程度であり、深沢地域整備事業用地も河口から同じ程度の距離である。そして北上川は49キロ先まで津波が遡上していたわけであり、深沢地域整備事業用地は想定外の地震の時に津波が来襲しないという保証などないはずである。
また、本庁舎建設予定地は基礎地盤まで27mもあり液状化の懸念がある緩い地盤であるので、建物の倒壊が起きないと断言出来るのであろうか?能登半島地震でも現実に発生しており「想定を超える地震」なのだから断言できないはずである。
私は大川小学校はじめ北上川沿いの地域で多く活動をしていたので散々行ったが、陳情提出者は現地に行って被害状況を知った上で言われてているのであろうか?私は2011年3月下旬に南三陸佐藤町長にお会いした時「自然災害はあらゆる事が起こるので想定なんかしてはいけないのですよ」と言われた言葉が今でも忘れられないので、「想定を超える地震」の対応は当然頭に置いて考えなければならないが、逆に言えば「想定を超える地震」を使った「市役所内にいる人の安全に関わりかねない」などとの過大な表現によって、現本庁舎だけ危ないといった誘導表現により、イタズラに市民の皆様の不安を煽る事もしてはいけないと考えるので、到底容認できる表現では無い。
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次に②より申し上げる
「築55年で施設が老朽化しており、維持する為のコストがかかる」と記載されているが、
築55年だから老朽化している、維持する為のコストがかかるとは何を根拠に言われているのか全くわからない。
設計施工の技術、資材の質など本当に新しいものが良いのであろうか?
古い建物がダメで新しい建物だとよい?本当であろうか?
一般的にビルの74%は50年以内に建て替え、と言っているが、これは何処の統計データだかわからない上に、何の意味があるデータなのであろうか?疑問である。
国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書によると、鉄筋コンクリート造の耐用年数は120年、外装仕上げで延命した場合150年である。
日本では1911年竣工の横浜三井物産ビルが現存していることが、鉄筋コンクリート造の耐久性が100年以上ある事を証明している。
特に公共施設はお金をかけて丈夫に建ててあり、1950~60年代の建物は多数現役で使用中である。
例えば、香川県庁は、国の重要文化財に指定されている1958年建築の丹下健三氏が手がけた建物だが、日本の近代建築20選(DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築)にも選定されており、鎌倉市役所本庁舎にも似たデザインの建物でモダニズム建築の代表的な行政施設として活用されている。
現在の鎌倉市本庁舎はモダニズム建築の最終系の貴重な建築物との高い評価もあり、老朽化していて汚くて狭いと言うレッテル貼りをしている事は強い違和感を持つものである。
モダニズム建築とは?…機能的、合理的な造形理念に基づく建築であり、
近代建築の三大巨匠ル・コルビュジエが「近代建築五原則」としてピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面を挙げた。工業生産による材料(鉄・コンクリート、ガラス)を用い、それらの材料に特有の構造、表現をもち、石造・煉瓦造が持っていた制約から自由になったことで可能になったものである。彼が手がけた世界遺産の建物☞※国立西洋美術館(1959年)がある。
そして、モダニズム建築より前の公共建築物としては、神奈川県本庁舎は1928年昭和3年の建築であり、歴史的建造物として、登録有形文化財に登録、また国重要文化財に指定されており、100年近く経過しているが立派にその役目を果たしている。
更に、鎌倉の寺社の建物に対する考え方はどうであろうか?例えば鎌倉唯一の国宝建造物円覚寺舎利殿は、15世紀室町時代中期頃の建築物と推定されており、日本最古の唐様(からよう)建築物であるが、こういった寺社の建造物が多数ある鎌倉市においての考え方として、「築55年で施設が老朽化しており、維持する為のコストがかかる」と言って維持保全の努力をすると言う考え方を持たない風潮は情け無い限りである。
更に、御成こどもの家はどう考えるのであろうか?
1936年に建設。1974年に中央図書館開館後は事務室として2014年まで活用されたが、
老朽化などを理由に市は解体を予定していたが、保存を求める市民団体からの陳情を受け方針を一転させて、改修・増築工事を経て、23年3月に学童施設として開所した。今年3月15日国登録有形文化財(建造物)に登録された。
白アリに食われてボロボロだった木造建築物を約4億円もかけて修繕して、IS値は1.34と市の施設として最高レベルになっている訳であるので、本庁舎も修繕してis値0.75まで上げて、文化財登録を目指したらいかがであろうか?
またコストがかかると単純に言っているが、現状170億円と言っている新庁舎の建設費などは今後上がる事が予想されるが、賃貸物件の利用なども含めた、トータルコストの比較を算出していない中で、きちんとした数字を示さないで感じっこで言われても、納得できるものでは無い。以前の私の議会答弁では、職員の交通費は現状の職員構成で考えると、4千万円程度増加すると言われたが、新庁舎を50年使った場合、この交通費の増額分だけで20億円であるが、そう言った事は理解して言われているのであろうか?
もっと言えばこれも本会議の討論で述べたが、深沢への移転で大半の地域は交通費が高くなるが、例をあげると、ハイランド及び十二所神社バス停利用者は交通費往復760円アップするのであるが、市民負担はどうでも良いのであろうか?どちらがコストがかかり市民負担が増えるのであろうか?はなはだ疑問である。
次に③より申し上げる。
「スペースが狭く、来庁者、執務者共に不自由。来庁者のプライバシー保護も不十分」と記載されているが、
何の改善策の提案も考えないでそう言っているだけであるが、スペースを拡大する提案は議会でも様々申し上げている。
例えば、何も活用していない中庭、入口エントランス部分、無駄に長い廊下、ロビーなどは簡単に活用できる。
また、駐車場、駐輪場を多層化すればスペースは生まれる。職員駐輪場を地下駐車場の上の部分に移してスペースを開ければかなり広いスペースが取れるはずである。
また、NPOセンターの場所から議員控室の部分にかけて橋を渡す感じの、千葉市にあるホキ美術館のようなイメージで増築をする事でも相当なスペースが取れるはずである。
因みにホキ美術館は日建設計が手がけたものである。
建蔽率については一定の条件を満たせば緩和になるなどあり、やりくりの工夫でクリアーできるはずである。
次に④より申し上げる。
「現庁舎の場所での建て替えでは、今より大きい建物になるため」と記載されているが、
これも調べないで、何の改善案のアイデアも無く言っている事であるが、現在の本庁舎の機能は分散化した方が市民の利便性は上がり、職員の業務もやりやすくなると共に、災害時も有利になると私は考えている。
例えば、現在の図書館、スポーツ課のように、現場が中心の部署は現場に執務室を設ける訳である。名越の中継施設に環境部、山崎浄化センターに都市整備部、健康福祉部は現在の図書館と入れ替えて鎌倉市福祉センター隣に持っていく。教育委員会は御成小学校旧講堂に持って行くなどを検討しても良いのではないか?と考える。
また根本的な改革の話しになるが、市民に市役所本庁舎者に来いと言う姿勢は超高齢化時代にはもう古い考え方であり、証明書発行、手続き、簡単な相談ができる庁舎を理想を言えば1小学校区に1ヶ所程度の「近くて良かったコンビニ庁舎」ができれば良いと考える。
災害時の対応は深沢の本庁舎が司令塔と市長は決めつけているが、そもそも不適格な場所ではあるが、仮に司令本部を置くとしても、そこが使えなくなるような状況の時に、どうにもならなくなるので、市内の破壊具合によって場所を変更できるように候補地をいくつかあげておく必要があるのではないだろうか?
候補地としては、①生涯学習センター➕現本庁舎➕社会福祉センター➕御成小中学校、②七里ガ浜浄化センター➕ 七里ガ浜小学校➕ 七里ガ浜高校➕プリンスホテル、③旧野村総研跡地をキャンプ場に整備して使用、④深沢地域整備事業用地を湧水地防災公園に整備して使用、⑤現消防本部➕大船小中学校、⑥山崎浄化センター➕武道館、などがある。
以上、陳情41号の新市庁舎整備を進める必要性については、その理由は多くが他の方策で対応できるものであると共に、他の方策の方が優位性が高いので賛成する理由が全くないものであるので反対とする。
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