◆平成27年度決算監査委員意見書
◆鎌倉市議会9月議会は平成27年度決算がメイン!
地方自治体の決算は下記の通り地方自治法に定められています。
私は現在鎌倉市監査委員を拝命しており、下記の”2”の所の監査委員の審査のお役目を担っております。
※地方自治法 第五節 決算
第二百三十三条 会計管理者は、毎会計年度、政令の定めるところにより、決算を調製し、出納の閉鎖後三箇月以内に、証書類その他政令で定める書類とあわせて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。
3 普通地方公共団体の長は、前項の規定により監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。
4 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
5 普通地方公共団体の長は、第三項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつては、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類その他政令で定める書類を併せて提出しなければならない。
6 普通地方公共団体の長は、第三項の規定により議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。
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監査委員として9月14日本会議で発言した内容を掲載させていただきましたので、ご一読頂ければ幸いです。
◆平成27年度決算監査委員意見
(長嶋が監査委員として9月14日本会議で発言)
ただいま市長から提案されました、平成27年度鎌倉市各会計歳入歳出決算等の議会における審査に当たり、監査委員として意見を申し述べさせていただきます。
決算等審査の経過について申し上げますと、市長から各会計歳入・歳出決算等について審査に付されたことを受けまして、7月25日から8月24日までの間、八木監査委員とともに審査を行ったものであります。
審査は、提出を受けた歳入歳出決算書及び付属書と関係諸帳簿類との照合を行うとともに、関係部課等への聴き取り調査や、全部課等から提出を受けた財務事務監査等資料及び定期監査・例月現金出納検査の結果を参考に実施いたしました。
審査にあたっては、大きく三つの観点から審査を行いましたので、その結果について申し上げます。
一つ目の観点として、決算書等が法令に規定された様式に基づいて作成されているか、計数に誤りはないか、財産管理は適正になされているか、定額資金運用基金の運用状況について、その管理・運用が確実、効率的に行われているかを審査いたしました
その結果、各会計の歳入歳出決算書、同事項別明細書の作成並びに財産及び定額資金運用基金の管理・運用は、適正になされているものと認められました。
二つ目の観点として、財政運営は健全になされているか、について審査いたしました。
本市の平成27年度の一般会計と特別会計を合わせた決算額は、歳入総額が1,109億2,500万円、歳出総額が1,059億6,600万円となっております。前年度と比較すると、歳入で43億7,800万円の増加、歳出で29億4,300万円の増加となっております。
また、歳入歳出差引額は49億5,900万円で、この額から翌年度繰越財源を差し引いた実質収支額は、36億2,600万円の黒字、そして実質収支額から前年度の実質収支額を差し引いた単年度収支額は、3億8,100万円の黒字となっております。また、すべての基金との収支などを加味した実質単年度収支額については、16億2,700万円の黒字となっているところであります。
普通会計の財政状況を見ますと、平成26年度まで5年連続で低下していた財政力指数は1.026となり、6年ぶりに上昇に転じました。また、特定財源を含む経常的収入に対する経常的経費の割合は、25年度から27年度にかけてはいずれも100パーセントを下回り財政構造の安定性は確保されているものの、96.4パーセント、95.9パーセント、96.3パーセントと推移しており、安定性が大きく好転したとはいえない状況にあります。市債の借入残高につきましては、平成16年度の1,077億円をピークに、以後は減少傾向に転じ、27年度末においては832億円となっております。
以上申し述べたとおり、本市の行財政運営につきましては、数値的には交付税交付団体となった25年度と比べると26年度から27年度にかけ、財政状況はやや改善された兆しが見られるところです。
しかしながら、今後の見通しとしては、歳出面では扶助費など社会保障費の増加が予想され、一方では、歳入面で大幅な税収増が見込めないことから、経費節減に取り組みながら、30年50年先の鎌倉の街をこうしてゆくのだという明確なビジョンを持って、行財政運営に努めるよう望むものであります。
三つ目の観点として、予算の執行が予算編成方針及び総合計画実施計画等に沿い、効率的に行われているかなど、審査を行った結果について申し上げます。
26年度を初年度とする第3次鎌倉市総合計画第3期基本計画では、市民の生命を守り、安全を確保することを全てに優先する取組としており、防災・安全の分野を中心とした「安全な生活の基盤づくり」につながる事業と、各施策において重点的に推進し、工程に沿って着実に進捗させなければならない事業を重点事業とし、これらに基づいて27年度予算は構築されたものであります。
27年度は、28年度に竣工が予定された大船中学校の改築工事や、27年4月から家庭系ごみ有料化が始まり、有料化に係る事業を行ったほか、(仮称)山崎・台峯緑地用地などの公園用地取得事業、マイナンバー制度の利用開始に伴う戸籍・住基一般事務、経年劣化が著しい汚水管路施設の予防保全措置や極楽寺、東部及び南部汚水中継ポンプ場の改築工事などに係る汚水排水施設整備事業などが実施されました。
翌年度に繰り越された事業もありましたが、それ以外の事業については、実施計画に基づき、総合計画の将来目標の達成に向けた取組が行われたことが認められました。
次に、審査の意見といたしまして、申し添えておきたいことを述べさせていただきます。
家庭系ごみ有料化により、平成26年度37,284トンあったごみの焼却量は、27年度は32,928トンとなり、収集量からの推計では、約4,300トン強の削減が図られたことになります。また、ごみの有料化で得られた歳入のうち1億9,700万円を一般廃棄物処理施設建設基金への積立とし新たな焼却施設の整備に向け、財源確保の取組が行われたところです。今回の意見書の中で要望した焼却施設整備に係る関係機関との十分な調整・協議はもちろんですが、今後のごみ処理施策については、特に、期待したほどの結果が表れていない事業系のごみの発生抑制についても積極的な取組を望むところであります。
次に、インフラの管理についてでありますが、ごみの処理と同様に、市民が生活を送る上で欠くことのできない道路、下水道、河川などのインフラについては、適切な管理が重要となるものです。このため、27年度に社会基盤施設マネジメント計画が策定され、今後40年間に要するインフラに係る経費が試算されたところ、このマネジメント計画の実践によって852億円の経費節減が見込まれるとされています。しかしながら、なお3,000億円強の経費が見込まれることから、市債の効率的な活用などを検討する中で、適切な財政運営を望むものであります。また、マネジメント計画には予防保全型によるインフラの管理手法を掲げておりますが、このことは、財政負担軽減の側面だけでなく、重大な事故を未然に防ぐことにもつながりますので、このことを十分に認識し、将来に向けた取組を早期に実施することを願うところです。
収納率の向上につきましては、27年4月に債権管理課が新設されたところですが、27年度の市税の収入未済額は13億2,300万円となり、前年度比で3億円減少し、このうち、滞納繰越分が2億5,800万円を占めています。滞納繰越分は、現年度分よりも未済額の回収が困難でありますが、債権管理課が設置され、滞納繰越分の処理に力を入れてきた成果であると考えられるところであり、今後も市民の税負担の公平性の観点からも、引き続き努力されることを期待します。
次に、意見書の中では要望しませんでしたが、行政運営が健全に営まれるためには、組織をなす職員一人ひとりが何事も前向きに取り組んでいける環境にあることも大切です。本市職員のメンタル不調による90日を超える休職者数は、平成26年度は31名でその割合は2.28%です。神奈川県内17市平均値が1.01%ですので、飛びぬけて高い数字であります。平成27年度が25名と聞いておりますので、多少減少してはいるものの、依然多い状況がございますので、今後は「健康経営」の視点を取り入れてメンタル休職撲滅に取り組んでいただきたいところであります。
さて、最後は、極めて残念な話をせざるを得ません。
平成27年度以降、白紙請求書問題、期限切れワクチン接種などを筆頭に、不適切な事務処理が相次いで発覚し、更には、生活保護費盗難事件、定期代不正受給、遅刻データー改ざんといった、公務員としてあるまじき行為も相次いで発覚いたしました。
かかる事態が起きているのに、市長以下幹部職員の言動からは、真摯に反省し、改善に向けた取組を進めていくという強い意思があるようには到底見受けられませんし、幹部職員だけではなく、いまだに「自分ごと」として捉えられていない職員が多いのではないかと考えざるを得ない状況です。
この事態はコンプライアンスの観点から看過されるべきものではなく、すぐに意識を切り替えて、まずは起こった事実を包み隠さずその全容を明らかにし、問題解決に向けて、不退転の決意で臨んでいただけることを強く要望しておきます。
これらの行為がなぜ行われてきたのかを考えますと、まず公務員としての自覚の欠如が挙げられます。また、様々な業務が慣例的な流れに任せてなされてきたこと、そして、職員一人ひとりが、個々の業務の持つ目的や意味を理解することなく、安易に前例を踏襲し、漫然と事務に当たってきたといった鎌倉市役所の悪しき風土にあると考えます。
このことから、不適切な事務処理の撲滅に向けては、まず、地方公務員法の精神に則り、公務員としての自覚を持って、職務の遂行に当たることをご徹底いただきたいと思います。
また、平成21年7月に定められた鎌倉市職員行動憲章の「職員は、法令や社会規範を守り、自ら考えて行動すること」や「慣習や先例にとらわれず、常に問題意識を持つこと」などに留意されて職務の遂行に当たることを望むところであります。
更に、組織として取り組むべきこととしては、個々の事務処理の節目ごとのチェック機能が十分に働くよう、各職場で責任を持って仕組みの構築や体制の整備を行うことも、併せて必要なことと考えます。
ただいま申し上げました審査結果及び意見の詳細につきましては、お手元の平成27年度鎌倉市各会計決算等審査意見書をご参照いただければと存じます。
以上、議会におけるご審議の参考までに、所見を述べさせていただきました。
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