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2020年10月 9日 (金)

◆鎌倉応援買い物飲食電子商品券「縁むすびカード」③反対討論

鎌倉応援買い物飲食電子商品券反対討論動画 

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只今議題なりました、議案第66号令和2年度鎌倉市一般会計補正予算(第7号)について反対の立場で討論に参加いたします。

因みに議案第65号は賛成であります

以下6っつの観点から反対の理由を述べさせて頂く。

①点目は「顧客心理と消費行動」についてであります。

そもそも、自分で払った税金が戻ってくるだけであるので「タコが自分の足を食べている様なものだ」とのご意見を市民の方から頂いたが、成る程と納得した次第であります。

こう言ったバウチャー制度の導入は、世の中の状況、消費のトレンド、投入金額、手法、などを間違うと失敗するのが常である。

現状の我が国は1990年代後半から名目GDPは横ばいで、経済成長はストップしており、世界唯一の衰退途上国と言われている。内閣府が817日発表した46月期GDP速報値は、実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%減であった。減少率は1980年以降でこれまで最大だった200913月期(前期比年率17.8%減)を超えている。

そう言った中で我が国は、物余り状態、金余り状態であるが、新型コロナウイルスの影響で消費マインドは益々低くなっており、将来の不安からタンス貯金が増加している状況である。特別定額給付金のように家族全員に10万円が支給されるような状況ならば、この際だからと新たな需要の消費マインドは起きやすいが、5千円の電子商品券だとどうであろうか?食費や生活必需品には使われるが、これは新たな需要が起きるわけではなく、ただ単純に使われるはずだった現金が使われずに、電子データが使われるだけであり、地域経済の下支えなど程遠い話しである。

今回の電子商品券のやり方は流通サービス業、顧客心理と消費行動を理解していない素人が考えた提案であり、議会の場では客観的データが示された訳でもなく、ただ感じっこで「経済の下支えになる」との議論がされていた事は非常に残念である。

②点目は「恩恵を受ける事業者が限定的」についてであります。

皆様は平日の長谷駅から高徳院にかけての通りがどの様な状況になっているかご存知でしょうか?平日は完全にシヤッター通りとなっているのです。駅に併設していた100円ショップの跡はいまだに店舗が入らずに空いたままで、鎌倉の観光の顔とも言える場所は悲しい現実がある。

今回提案されている電子商品券で、このシャッター通りが復活するでしょうか?

殆ど恩恵をこうむる事は無いでしょう。そもそも、対象顧客が違うのです。業態が違うのです。

何より許せないのは、担当課長が電子商品券で需要が刈り取れるように「事業者にも努力して頂きたい」と繰り返し答弁していた事です。

入り込み客数年間2千万人の観光地鎌倉の商工という事を理解していない発言には呆れるばかりです。

総務常任委員会で栗原議員が示された「盆踊り大会お楽しみクジ景品商品券」のデータから考察すると、コンビニ、お酒を出す食事処、菓子店、食料品店、これだけで実に96.6%の利用率です。注目したいのは、コンビニの比率が高い事と、お酒を出さない食事処が1.7%の利用しかなかった事です。

非常に大きな差が出ているのが現実です。

恩恵を受ける事業者は限定的であり、一部の業態や人気店、有名店、などにかなり限定される事は明白であり、入口から忖度いや差別が行われているのです。

スーパーやチエーン店は使え無いが、何故かコンビニは使える。商業施設内の個人店舗は使えない、など非常におかしな内容である。

③点目は「そもそも市民が気がつかない」「利用出来ない」についてであります。

富山県射水市は「広報いみず」と一緒に全世帯に届けたクーポン券について「市民が気付かずに捨ててしまったかもしれない」との見方を示した。約3万3千世帯に配り、全て使用されれば約3300万円の経済効果が見込まれたが、飲食店が換金したのは全体の約2割の約650万円、との事である。

特別定額給付金のように連日メデイアで取り上げられれば周知がなされるが、広報紙やネット、ケーブルテレビなどでは周知は足りないと考える。

また、長期不在者、1人暮らしの高齢者、障がい者の方々など利用出来ない状況の方々も少なからずいらっしゃると考える。

「そもそも市民が気がつかない」「利用出来ない」事により、不公平な状況が発生する事について懸念を持つところである。

④点目は「セキュリティと法令違反」についてであります。

・セキュリティについてでありますが、

この電子商品券、強制的に各家庭に郵送されるが、まず盗難の心配がある。番号で管理しようが送られて来た事に気がつかなければ、盗まれてもわからない訳である。そして売買する事もできてしまう。特殊詐欺が横行している中、良からぬ犯罪に利用されるのでは無いか?との懸念を持つところである。

・法令関係についてでありますが、委員会でもお話ししましたが、

道路交通法第76条では、道路法第32条で占用許可を得ていない場合は、

交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない

交通の妨害となるような方法で立ち止まってはいけない

となっています。

建築基準法では

第1種低層住居専用地域では50平米未満で延べ床面積の1/2以下、でないと営業はできません。

その他、消防法、神奈川県屋外広告物条例、鎌倉市都市景観条例等

関係法令等に違反している店舗は膨大な数があるが、違反している店舗には電子商品券の使用を認められないが、これを短期間でチエックして是正させる事は困難であり、賛成できない大きな理由の一つである。

⑤点目は「経費と利用率、経済効果」についてであります。

経費も前回より削減したとの事であるが、88750万円の電子商品券を177,500人に配る為に、1341万円の経費をかける。この事務経費も税金でやる訳であるが、電子商品券の事業者を儲けさせる為に経費を使うようにしか残念ながら見て取れない。

委員会の答弁では利用率の目標は90%との事であるが、人口が81日現在の172763人とすると、金額は863815千円、利用率90%とすると777433千円であり、経費は実に13,3%も使われる事になる。

ウイキペディアによると、

1999年に行われた地域振興券の最終的な使用率は全国平均で99.6%だったとの事であるが、

経済企画庁が地域振興券を受け取った約3107万人中の9千世帯に行ったアンケート調査によると、増えた消費は振興券使用額の32%だったとしている。つまり、残りの68%が貯蓄に回されたり、振興券がなくても行われた消費に使われたということである。経企庁はこの結果をベースに単純計算したところ、振興券は名目GDPを約2千億円押し上げたが、これは、GDP全体の0.04%程度、個人消費の0.07%程度だったとの事である。

この増えた消費が振興券使用額の32%だったとの数値を今回の電子商品券に当てはめると、利用率が90%だと仮定して777433千円消費される訳であるが、増える消費はその32%なので、248778千円となる。実に1341万円の経費を使って、増える消費額は約24877万円と言う事になる。

この地域振興券の時、私は流通の現場で働いていたが、担当の売場では高額なランドセルや自転車が飛ぶように売れた事を鮮明に記憶している。

額面1000円で120枚の2万円分、総額6194億円を贈与という形で行われたが、額面が大きい事に合わせて、釣り銭が出ないと言う事もあり、この際だからと新たな需要の消費マインドが起きたのだと思われるが、それでも伸びた消費は32%であった。今回の電子商品券のやり方では、そう言った方向性に向かうとも思われず、新たな需要の消費ではなく、食費や生活必需品に使われ、ただ単純に現金が使われずに電子データが使われるだけであると思われるので、消費の伸び率は地域振興券の32%より期待できないと考える。

更に、電子データのやり取りがしやすい店舗に行く傾向が出ると考えるのが普通であり、先程の栗原議員のデータをから考えても、電子商品券により増える消費率は低くなる事が容易に想像できる。

⑥点目は「対案」について述べておく。

単純に市民税を減税するか、地域振興券を配った方が早いし経費がかからない。

それよりも、コロナ禍で食事もろくに食べられないような状況の方、仕事が無くなってしまった方、医療や介護の従事者の方々の為に使うべきである。

地元経済の立て直しをしたいのだったら、場当たりのばら蒔きではなく、継続性のある事業をやるべきである。そもそも良いお店があっても有名店以外はお店を知らないので、利用先が片寄るのは目に見えているので、告知をする事が先に必要である。

以下、5点の提案をあげておく。

①減税

これは一番簡単である。経費はかからないがタンス貯金になる可能性が高いと思われると共に今回の趣旨とは違うものである。

②地域振興券

過去の実績があり、短期に効果をあげるのに向いていると思われる。

③地域通貨

長期に継続的に幅広く地域経済の活性化をはかるには有効なので、一番推奨したいやり方である。

④広告チラシ

幅広く公平に扱う事ができる。又お店の告知には有効であり、クーポン券などをつければ効果は高くなる。全国の販売店・飲食店が販促ツールとして必ずやるのは効果があるからである。

⑤鎌倉インターネット通販サイトの立ち上げ

費用対効果が最も高いと言える。対象顧客は全世界、店舗はいくらでも掲載できる、クーポン券発行、物産展などの催事、様々なイベント企画、他自治体や様々な企業とのコラボ。あらゆる事が実施できる。再三再四導入を提案しているが、全くやる気がないのが鎌倉市である。

事例を3点あげておく

高山市、さるぼぼコイン

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000196.000011255.html

1億円規模・最大34%上乗せ、電子地域通貨・さるぼぼコイン、飛騨市民対象のプレミアム電子地域通貨を発行 との事で記事になっているが

 「さるぼぼコイン」は、スマートフォンアプリのデジタル地域通貨で、地域経済を活性化する目的で201712月に商用化を開始し、金融機関を発行母体とした国内初のデジタル地域通貨である。飛騨市や高山市の市税支払いや、災害発生時の義援金募集の取り組みなどの役割も担いつつ、2020 4 月末時点で加盟店は1,200 店舗、ユーザーは1 2000名を超えるなど、地域の新しい決済手段として定着しつつあります。

尼崎市、SDGs貢献でポイント付与/電子地域通貨の実験へ

兵庫県尼崎市は、健康づくりや省エネ、ボランティア活動など、市民が日常的に取り組む行動が、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に貢献する場合に、ポイントを付与する電子地域通貨「あま咲きコイン」の実証実験を10月1日にスタートさせる。

亀岡市、プラスチックごみゼロ宣言のまちが、“エコクーポン”で市内飲食店を応援

など様々な事例がある。

以上6っつの観点から反対の理由を述べさせて頂いたが、

誰かの黒字は誰かの赤字であります。「経済」と言う言葉を間違って捉えてはいけません。

一部の偏った事業者だけが恩恵を受ける事、費用対効果が低い事、継続性がない事、セキュリティ上の問題がある事はやめるべきであると考える。

以上で討論を終わります。

 

⭕採決結果

❌ 反対9名
・日本共産党鎌倉市議会議員団
 吉岡和江 武野裕子 高野洋一
・神奈川ネットワーク運動・鎌倉
 保坂令子 安立奈穂
・無所属
 松中健冶 竹田ゆかり くりはらえりこ 長嶋竜弘

⭕賛成14名
・公明党鎌倉市議会議員団
 納所輝次 西岡幸子 大石和久
・鎌倉みらい
 池田実 山田直人 前川綾子
・自由民主党鎌倉市議会議員団
 伊藤倫邦 志田一宏 森功一
・鎌倉のヴィジョンを考える会
 久坂くにえ  河村琢磨
・鎌倉夢プロジェクトの会
 髙橋浩司 日向慎吾 
・無所属 千一

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鎌倉縁むすびカード①

鎌倉縁むすびカード②委員会質疑動画←詳細はこちら

鎌倉縁むすびカード③反対討論動画

全ての市民に3千円の電子クーポンを交付(7月臨時会)

3千円電子クーポンばら撒き予算長嶋質疑動画(7月臨時会)

☝️職員のレベルが良くわかるやりとりです。
鎌倉市役所職員の実態を知る為に度見て下さい。

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