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2022年12月26日 (月)

◆鎌倉市役所移転の条例 市議会で否決!

議決結果

・特別多数議決である為出席議員の2/3の賛成が必要。

・定数26名⇒2/3⇒18名、9名反対で否決。

👆長嶋討論

〇賛成 16

・鎌倉かわせみクラブ (竹田ゆかり)

・神奈川ネットワーク運動・鎌倉 (保坂令子 井上三華子)

・鎌倉のヴィジョンを考える会 (中村聡一郎 後藤吾郎 久坂くにえ)

夢みらい鎌倉 (日向慎吾 中里成光 池田実 前川綾子)

・公明党鎌倉市議会議員団 (大石和久 児玉文彦 納所輝次)

・自由民主党鎌倉市議会議員団 (森功一 志田一宏)

・無所属議員(くり林こうこう)

×反対 10       

・日本共産党鎌倉市議会議員団 (吉岡和江 武野裕子 高野洋一)

・鎌倉アップデートチャレンジ (藤本あさこ 岡田和則)

・無所属議員 (松中健治千一長嶋竜弘) 

・鎌倉かわせみクラブ (くりはらえりこ

・鎌倉のヴィジョンを考える会 (出田正道) 

 

◆本会議の長嶋反対論原稿

議案第51号鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例の制定について反対の立場で討論する。

はじめに現計画の市役所移転について、私がいちばん反対する理由は、このまま市民の合意なしに強行したら、分断を招き、鎌倉の街の歴史に大きな汚点を残す取り返しのつかない事になるからである。

また、利権の為に「ありき」で進めてきた、支配者達の乗っ取りから、鎌倉の街を守る為である。

地方自治法 第四条 2項 には

前項の事務所の位置を定め又はこれを変更するに当つては、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなけれならない。

と記載されている。

現状の深沢地域整備事業用地への本庁舎新築移転の提案は、この条例の精神に反する提案であり、交通の事情、他の官公署との関係等について、住民の利用に最も便利では全くなく、どう考えても一部の地域を除き不便になるのは明確な事実であり、問題の提案であると共に、完全に地方自治法4条の違反だと考える。

一般質問、委員会の質疑の中では、担当部局が答えられない状況が非常に多く、様々指摘があった問題点については答えがないものばかりで、計画があまりに未成熟、かつ財政的担保が不明、全く実行できるとは思えない状況であると考える。

当初から終始市民の意見を聞く耳は持っておらず、利権と言う大きな傘の下で目先の利益だけを目的に「ありき」で進められて来た事業である。これを賛成するとしたら極めて無責任だと考える。

 

では、問題点について10点ほど申し上げる。

①最初に防災について申し上げる。

現本庁舎は津波が浸水すると過去のデータを使い嘘を言って市民を騙して進めようとしていた事に憤りを覚える。又、審議会では極めて薄い知識の浅い議論が行われていた。

審議会の委員は専門家の肩書があるが、本当に市民の安全安心を考えて議論を行う方々だったのであろうか?残念ながら最初から誘導の為の「ありき」の議論しかしていなかったようにしか受け取れなかった。

先日の建設常任委員会でも現本庁舎の耐震性能についての議論があったが、極めて恣意的で誘導的な議論が行われていた。例えば歴史的文化的価値のある公共の建造物の保全活用だとどう考えるのか?と言う話しにもなってくる訳だが、神奈川県の本庁舎などがその事例であるが、先日の議論の方向性だと全国のあらゆる庁舎が使えない事になる。また、現本庁舎の跡地の利活用もセットで考えなければならない訳だが、先日の議論の中身だと、現在の本庁舎は震度7クラスの地震で使えなくなるので、津波来襲で壊滅状態になる鎌倉地域の拠点としては不適格なので、解体して建て直す必要が出てくるが、新築の場合の建設費だけで概算101億円との答弁があったが、新庁舎は186億円との事であるので、現本庁舎の解体費用なども合わせると、社会情勢による増額を考えない場合でも、ゆうに300億円を超える訳である。この財政的負担をどう担保するのであろうか。

また、震度7に耐える為の耐震補強は難しいとの話しであったが、全く勉強していないか、知っているのに言わないのかわからないが、「耐震」「制震」「免震」の3種類のやり方がある事が語られていない。

耐震構造の特徴としては

壁や柱を強化したり、補強材を入れたりする事で建物自体を丈夫にするが、揺れは他の構造に比べて大きく、地震の規模が大きくなると、柱、梁、壁などが損傷する恐れも出てくる。

建物が丈夫でも、地震のエネルギーが建物内部に伝わり、2階、3階と階が上がるほど揺れの幅が大きくなる。

制震構造の特徴としては

建物内に配置した制震部材で地震のエネルギーを吸収するので耐震構造に比べて地震時の揺れを抑えられ、地震の規模が大きくなっても、柱、梁、壁の損傷を抑えられる。揺れに対しては上の階に行くほど抑えられる。

免震構造の特徴としては

建物と地面のあいだに免震部材を設置する事で、建物が受ける地震のエネルギーを吸収し、地面から建物を絶縁。耐震、制震と比べて、建物の揺れをもっとも抑えられるので、建物内部の揺れが少なく落下物などによる二次災害が起こりにくい。 

地面の揺れが直接伝わらないため、建物の揺れは地面の揺れよりも小さくなる。建物内部の揺れも軽減されて、体感する揺れは実際の3分の1から5分の1程度に感じることもある。

2012年に完成した東京駅丸の内駅舎改修工事で採用されて注目された。

特に注目すべきは「免震レトロフィット」という工法である。

フランスの建築家ル・コルビュジエによって設計された世界遺産に登録された、国立西洋美術館本館は当時 の建設省が日本で初めてこの工法を採用しており、文化的価値を世界から認められたこの建物が今日まで守られてきた背景にはこの工法があったからである。

免震レトロフィット工法としての庁舎の事例としては


北海道庁本庁舎


12/57792


31ヵ月


51.5億円


大分県庁


9/30709


28ヵ月


24.9億円


横浜市庁舎


8/20756


22ヵ月


36億円

などがあり、文化的価値があるとの評価もある現本庁舎を、震度7の地震に耐える建造物として使用するには、一番平米単価の高い横浜市庁舎の金額で計算しても20数億円程度で出来る訳である。

また、以前議会の場でも申し上げたが、地盤の違いについても理解がされていない。

東日本大震災当時の震度で沢山のご意見があった事は皆さんご承知かと思うが、日頃の震度の計測の数値を見ても、鎌倉市の震度は近隣自治体より震度1程度は常に低い状況にある。

これは震度計のある御成町の現本庁舎の地盤が安定しているからであり、移転先の緩い地盤とは大きな違いがある事も見逃してはならない事実である。

災害など有事の対応については、実際に有事発生時に鎌倉の街中がどういった状況になっているかは予測出来るものではないので、新庁舎と消防本部を救助などの司令塔としてセットで移転先に移す考え方は危険であり、公共施設は災害時は分散化が有利であると考える。

また、人口減少、超高齢化、AIICTの進化などによる社会情勢の変化の対応は、公共施設を分散化する事の方がはるかに市民の皆様の利便性が上がると考える。

 

②次に歴史的な考え方を申し上げる。

鎌倉の街で政務を執った官衙(かんが)の場所は約1300年前からすでに現在の市役所近辺にあり、今小路西遺跡と呼ばれており、奈良・平安時代から鎌倉幕府を経て現在の令和の時代まで変わらずに、現在の鎌倉駅近隣にある訳であります。この歴史的事実は非常に重い事であり、今回の松尾市長の提案はこの位置を変えようとするものである。

この歴史的事実について、ご存知ない様々な方々が議論し、市民の皆さまもおそらく大半の方々がこの事実をご存知ない中で、極めて重い歴史的事実を飛ばして、松尾市長からの丁寧な説明もないまま、現代人の利益だけを考えて決めようとしている事は、古都鎌倉の歴史的価値をないがしろにする提案であり、決して容認出来るものでは無い。

 

③次に、財政的問題について申し上げる。
予算措置の目処が経った時にこの条例提案をするとずっと答弁されていたが、その目処がたっているようには残念ながら見えない。

本会議のご答弁では、基金35億円、市債115億円、一般財源36億円、合計186億円との事であるが、毎回出てくる金額もまちまちで、何が含まれているのかが良くわからない事は問題であるが、現在の本庁舎も建替えた場合は14100平米で101億円かかるとの答弁があったが、新築移転すると関連する予算は一体いくらかかるのか?おそらく追加追加と予算はかかるのではないかと予想され、疑義を持つところである。

また、昨今の社会情勢の変化による予算額の増額は間違いなく発生すると考える。現在世界の金融市場は非常に不安定な状態にある。
先日、ガーナが事実上のデフォルト、大半の対外債務支払いを停止した。

外貨建ての対外債務は命取り。利上げ新興国から資金回収して他国へ投資振興諸国の資金不足による経済破綻との流れで「新興国のデフォルトの嵐」が到来する可能性など、世界経済がどうなるか?大変懸念される状態にある。

その中で、日銀が長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大する事実上の利上げが発表された。また、23日に発表された消費者物価指は前年同月比3.7%上昇して、第2次石油危機の1981年以来、4011カ月ぶりの伸び率となり、更に年明けには値上げラッシュが待っており、来年14月の食品値上げは7152品目に上り、2月に4277品目が集中しており、値上げ幅も今年より40%以上もの大幅値上げを行う企業が多くなる。来年以降の日本経済、国民生活、自治体の財政状況がどうなるか?不透明な状況にある訳である。

大船駅東口市街地再開発事業はオリンピックの資材高騰により出来なくなりストップしたが、その時より状況は厳しいと考えられ、ご答弁では、社会情勢の変化による増額は出来る限り市債で対応と言われていたが、村岡新駅の藤沢市議会での報告では68.1億円→81.8億円に増加、深沢地域整備事業は205→264億に増加との事であるが、これらの社会情勢の変化による予算額の増額分の目処は全くたっていない状況であり、財政負担増により様々な事業への影響は確実に出るものと考える。

更に、そもそも賃貸でやると言う考え方を持っていないが、自前の土地建物でやると言う考え方は一見費用が安くなるようにに見えるが、本当にそうであろうか?生産性は上がらないし、税収も見込めないのではないか?新庁舎、跡地の費用は先程申し上げた300億円だとして、賃貸に置き換えたとしたら、年間5億円使っても60年使える訳である。メンテナンス費用も金利もいらないし税収が上がる訳であり、どちらが安く済むのであろうか?甚だ疑問である。

④次に、有事の懸念について申し上げる。
現在世界は戦争状態にある。その中で神奈川県は米軍基地数が全国2位で、鎌倉市は横須賀、厚木・座間などに挟まれた場所にある。また、市役所の位置を移す予定地は防衛産業業界売上高ランキング1位の三菱電機が近隣にあり、ミサイル、テロ、電磁波パルス兵器等の敵国からの攻撃のターゲットになる事が大変懸念される。

⑤次に、村岡新駅に向かうシンボル道路の藤沢市側の地権者の立退きについて申し上げる。
立ち退きが決まらないと本庁舎新築移転の為の条例改正についての判断は出来るものではないが、答えが全く無いので、この一点だけを取っても賛成出来ないものである。

⑥次に、地方自治法4条の交通の事情について申し上げる。
住民の利用に最も便利であるように、交通の事情について適当な考慮を払わなければならない、との記載があるが、現在の市役所より近くなる市民は少なく、遠くなる市民は非常に多く、公共交通機関を使って行く場合、交通費の市民負担は非常に多くなる。

鎌倉地域、江ノ電沿線の鎌倉駅〜七里ヶ浜間の住民、山ノ内の住民は明らかに遠くなり、不便になる。

またそれらの地域は交通費が高くなるが、例をあげると、ハイランド及び十二所神社バス停利用者は交通費往復760円アップ、奥稲村バス停利用者は往復1300円も交通費がかかり、交通費往復420円アップになる。
また近いと思われる腰越駅利用者でも往復140円アップ、大船駅利用者でも120円アップとなる。
歩いて行ける深沢駅利用者を除けば、 最も交通費が安くなるのは、松尾市長の地元駅である西鎌倉駅利用者で420円安くなる訳である。

多くの住民が不便になり交通費が高くなる事については地方自治法4条に抵触する内容だと考える。

⑦次に、地方自治法4条の他の官公署との関係について申し上げる。
住民の利用に最も便利であるように、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない、と記載があるが、税務署、警察署、保健所、裁判所、鎌倉水道営業所などは移転する予定はなく、他の官公署との関係等について適当な考慮は全く払われていない。

また「住民の利用に最も便利であるように」から考えると、各銀行、郵便局本局、商工会議所、観光協会、社会福祉協議会、FM鎌倉、等も移転予定は無く、非常に不便になる事は明確であり、この点についても地方自治法4条に抵触する内容だと考える。

⑧次に地盤についての問題点を申し上げる。
eかなマップでは相模トラフ沿いの地震、大正型関東地震、元禄型関東地震、神奈川直下型地震の時、本庁舎移転予定地近隣は液状化の可能性が極めて高いとなっているが、これは大きな問題である。

更に、柱状図やボーリング調査の報告書等を見ると液状化については大きな懸念を持つ。

報告書には次のように記載されている。地表面に層厚3m低度の風化砂岩片混じりの砂を主体とする盛土層(B)が分布。→N値は212で相対密度は非常に緩い〜緩いに区分される。地下水位はほとんどこの盛土層(B)の中に確認されている。地下水位は概ね深度2m付近に分布しており自然水位と考えられる。梅雨時や台風等の異常気象時または豊水期には、地下水位が大きく上昇する事が予想されるので留意されたい。最上部のB層は概ね地下水位以浅にあることや土質性状が不明のため、液状化検討の対象外とした。などと記載されている。

本庁舎移転新築の場所は液状化の問題はないかのごとく答弁をされているが、この報告書だけを見ても、大きな問題が内在しているように思える。

⑨次に、近隣への浸水について申し上げる。
位置を移す先は年超過確率1/1000降雨時に浸水する事になっているが、盛り土、嵩上げ等する事になるが、その事により区画整理事業用地外の低い地盤のままの近隣は浸水する事になるが、対応策は考えられておらず、この事は大いに問題である。

⑩次に、一番指摘が多かった道路交通問題について申し上げる。
まず、鎌倉地域をはじめとした各地から新庁舎を経由して村岡新駅に至るバス路線の整備については、全く見通しがたっておらず、それでは話にならないと考える。

次に道路の改良については周辺の県道、市道ともあらゆる問題箇所の改良の見通しはたっておらず、鎌倉市側の道路のみならず、藤沢市側の道路の改良も見込めないので、近隣の通行には大変大きな問題が起きると考えられる。また、通過交通についても多大な影響をもたらす事は間違いない。

更に、大動脈である横浜環状南線、横浜湘南道路はトラブルにより開通時期については未定となっており、村岡新駅の高架橋も予定されていないことから、このままでは近隣地域の道路交通は大混乱を招く事は避けられないので容認出来る事ではない。

そして何よりも深沢小学校に通う子ども達や深沢交差点をはじめとした近隣地域の歩行者の安全確保は、歩道の新設や拡幅が必要であるが、用地買収をしてやると言う答えはほとんど無く、これは由々しき問題であり到底賛成できるものではない。

 

終わりに、孔子の論語の一節をご紹介する。

子曰く、利によりて行えばうらみ多し

子曰く、君子は義にさとり、小人は利にさとる

子曰く、そしをくらい水を飲みひじを曲げてこれを枕とす。楽しみもまたその中にあり。

不義にして富かつとおときは、我において浮雲のごとし。

 

以上、未成熟かつ問題だらけの深沢への本庁舎の移転は、一部の人間の利益の為に行われようとしているものであり、強行すれば市民の分断を招き、鎌倉の街の歴史に大きな汚点を残す事になるので、到底賛成できるものでは無い事を申し上げて反対討論とする。

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〇議案第51号 鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例の制定について
「長嶋本会議議案質疑」
http://kamakurasi.air-nifty.com/blog/2022/12/post-18f478.html

〇鎌倉市議会和4年12月定例会 長嶋一般質問
「深沢地域整備事業から考える鎌倉の街づくり」
kamakurasi.air-nifty.com/blog/2022/12/p

〇鎌倉市議会6月定例会長嶋関連質問(2021/6/21)
「鎌倉市本庁舎移転は地方自治法4条違反」

本庁舎移転問題2014年からのブログ

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コメント

市役所職員は市役所の現在地では高さ制限があり建替え不可能との大前提で本件を推進・市民に説明しているが、高さ制限の条例を変更すれば可能。松尾市長も議会or市民内にてその気運が高まれば考えると言ってますので是非推進して頂き度い。
又、本件は大重要案件故、骨子がある程度固まった時点でまずは議会決議前に市民投票による市民の意見を聴取することが絶対条件。

投稿: 本間光一 | 2022年12月28日 (水) 10時15分

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